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コラム

「人はなぜ夢を見るのか?」

  • 公開日:2020.03.30
「人はなぜ夢を見るのか?」

あまりにも怖い夢を見て、目覚めた時に「夢で良かった」とほっとした経験や、逆に「何だ夢だったのか。もっと続いて欲しかった」と感じた経験は、誰もがお持ちだと思います。
それでは、人はなぜ夢を見るのでしょうか?一般的に睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」に分けられますが、人間の睡眠周期は眠りが浅い「レム睡眠」と眠りが深い「ノンレム睡眠」が交互に現れ、1サイクルの平均が約90分と言われています。そのため一般に6~8時間の睡眠では4~5回の睡眠周期が現れます。そして「夢」は浅い眠りに入ったレム睡眠中に見ると言われています。したがって、朝起きて覚えている夢は、明け方、眠りが浅くなった時に見た夢が多いのです。
次に夢にはどのような意味があるのでしょうか?夢分析の古典として有名なフロイトによると、無意味に抑圧された願望が昼間の体験によって加工され、映像化されると考えました。特にフロイトは性的な事象と夢の内容を関連づけた説明が多く、例えば、銃が男性器、果実が女性器、動物が性欲を象徴するとしていました。このようなフロイトの抑圧の考えは性的なものがタブーとされていた時代背景があったことを考慮しなければなりません。最近では実際の診療で夢分析は実施しませんし、フロイトのように性的な内容に関係づければ、非常に変わった精神科医だと思われるでしょう。
一方、夢の体験は以前から様々な興味の対象となっていました。古代では夢は神のお告げだと考えられていましたし、芸術の世界では、夏目漱石が『夢十夜』という夏目にしては珍しい幻想的な内容の小説があります。サルバドール・ダリ・は枕元にスケッチブックを置き、夢を見て、目覚めるとそのイメージをすぐにスケッチしていたとのことです。
夢のメカニズムはまだまだ未知の部分が多いのですが、興味がつきない分野である事は確かです。そして最後にクロード・ドビュッシーの『夢』という曲はとてもチャーミングなピアノ曲で、寝る前に聴くと副交感神経が優位に働き、快適な睡眠がとれるでしょう。是非お試しください。
内田太一